新たな可能性を開くデータ主導型アプローチ

ブログ著者:Sean Price 本ブログは The Predictive Analytics Journey の翻訳になります。

過酷なこの時代、逆境はあらゆる角度から公共部門や医療機関に打撃を与えています。限界を超えて予算とリソースをやり繰りしている機関の多くが、実質的なコストを大幅に削減しなければなりません。これに加え、複雑なニーズが増加し、世間の目が厳しくなり、継続的な改善が期待されています。何らかの改革が必要です。多くの機関が転機を迎えている今、誰かが破綻することを誰もが予想し、それが自分でないことをただ祈っています。このような中、「サラミスライス」法、つまりサービスを分割して、リスクや優先順位が高い項目に焦点を当てるアプローチが多く採用されていますが、根本的な解決はほとんど望めません。そうは言いながらも、革新的な方法に投資することで、需要を抑え、リスクに優先順位を付け、積極的な早期介入を強化している機関も存在しています。

Business men in a dark room standing in front of a large data display

イノベーションと変革の基礎

リーダーは、状況を客観的に捉え、「入手した情報が意思決定と早期の効果的な行動に役立つかどうか」を検討する必要があります。そのうえで、「データからより良い成果を引き出せるか」を検討します。

アナリティクスの基本は「データ – インサイト – 行動」です。

判断力と洞察力に優れたリーダーは、組織の複雑化、集中化、グローバル化、デジタル化が進むと、データ量は増えるが、インサイトが手に入りにくくなり、データがサイロ化することがわかっています。しかし、サービス提供の基本を見失っている人もいます。取り込まれた多くのデータソースが複数の場所に保存され、大量のデータが価値を活用されないまま、あちこちに分散しています。組織で最も貴重な資産の 1 つ、データが無駄になっているのです。医療トラストの何百ものシステムに、膨大な価値が手つかずで眠っていることは珍しくありません。

効率性、有効性、正当性に対するガバナンスは最適とは言えません。ひいき目に見ても大抵は平凡です。データ主導型アプローチを採用して、データを詳細に調べれば、機会はすぐに姿を現します。

公共部門における創造的破壊はここから始まります。革新者にとってデータは重要な戦略的課題です。革新者はデータを使って、ビジネスのあらゆる部分に光を当て、最新アナリティクスの青写真を使って、組織の文化とサービス提供をよく観察します。ビジネス部門の主導のもと、幹部から現場レベルまで、あらゆるものに対する民主化と産業化が進められ、見通しがよくなります。そして、人、プロセス、システムが明らかになり、精査と改善が実現します。この精査の大部分は「現場」レベルで行われ、意思決定と行動に近い人に権限が付与されます。こうしたアプローチが保証、生産性、品質、そして成果全体を変えていき、やがてはサービス提供の文化が変わります。重要なのは KPI を使用してダッシュボードを作成することではありません。ビジネスを推進する実用的なインテリジェンスを提供することです。まったく考え方が異なります。

アナリティクスプラットフォームの構築とデータ接続が完了すると、革新者は次にビジネスインテリジェンス曲線の改善について検討し始めます。ビジネスインテリジェンス曲線は、アナリティクス手法の高度化と競争優位性の向上の関係を示します。高速ロードマップアプローチでは、革新者は生データのインサイトを、記述的アプローチ、診断的アプローチ、予測的アプローチを経て、最終的に処方的アプローチへと移行させます。従来のウォーターフォールアプローチではこれを実現できません。アジャイルアプローチを採用すると、数年ではなく数週間で価値が実現します。

曲線を上昇させ、予測的アナリティクスのプロセスを開始する

かつては暗い部屋にいる髭を生やした科学者だけの領域だった予測的アナリティクス技術は、今や公共部門が手頃な価格で容易に利用できる技術となっています。この分野の技術の変化は非常に速く、制限となるのは、この技術が提供する機能を利用するための自信と創造力だけです。Python/R または Big Squid/Data Robot などのビジュアルモデリングソフトウェアをアナリティクスプラットフォームに統合すれば、予測的アナリティクスを展開できます。ビジョンと熱意、それに知識があれば、すぐに開始できるのです。

基本的な仕組み

確率は予測的アナリティクスを支える基本的論理であり、「数学」を使用して、事象が発生する可能性を生成するアルゴリズムです。

「活力源」であるデータ (最も重要な部分) を流し込み、目標となる主要結果 (ターゲット) に対してモデルを構築してトレーニングします。この主要結果には、脆弱性リスク (任意の機関)、滞在日数 (ヘルスケア)、犯罪者リスク (法執行機関)、CSE リスク (地方自治体)、道路洪水の高いリスク (高速道路)、需要予測 (任意の機関) などがあります。このモデルによって、データ主導型アプローチの結果 (ターゲット) に影響を及ぼす予測基準が特定されます。新しいデータに対してモデルを実行すると、リスクスコア、つまり結果が発生する可能性が生成されます。

重要なのが評価です。この評価によって、モデルの精度と主な制限を把握します。現場でテストし、モデルの改善を確認して、より高い精度を目指します。モデリングが継続的な作業であることを忘れないでください。

予測的モデリングには、どのようなリソースが必要なのでしょうか。民間企業であれば、部門によっては、モデルによる 1% 増加が世界における数百万ドルの利益を意味することがあります。その場合は、多数のデータサイエンティストが必要になるでしょう。しかし、公共部門ではそのようなことはありません。1 人のデータサイエンティストを雇い入れるか、内部で人材を育成するだけで、組織に大きな影響を与えることができます。重要な成功要因としては、使いやすさ、業務部門のリーダーとの連携、アナリティクスプラットフォームへのモデルの組み込み、業務タスクへの組み込みが挙げられます。

モデルを導入して行動に移す

適切な技術とデータサイエンティストの両方が揃うと、「ロールスロイス級」の一連のインサイトが簡単に手に入ります。アナリティクスをワークフローやタスクのプロセスに組み込みましょう。

重要ポイントは次のとおりです。根拠に基づいたインサイトのソースが提供され、専門家がより多くの場面で的確な意思決定を行えるようになります。公共部門では、状況が複雑なため、知恵が必要です。知恵は人間の得意分野であり、アリゴリズムの苦手分野です。結果に対して実際的で常識的なアプローチを適用すれば、自信が生まれ、良い結果につながります。世界は変化し続けています。自動化された拡張リスク管理手法を活用して、今日の組織が直面する倫理的ジレンマに私たち全員が対処できるようにする必要があります。

医療分野の事例

早期介入の機会をサポートする予測的アプリの使用が増えています。

Wrightington Wigan and Leigh (英国の国民医療サービス) は、アナリティクスを利用した新しい方法によって、緊急治療室 (A&E) の実績の管理と改善がどのように進められているかに注目しています。このサービスでは予測機能を備えたアプリを開発して、リソースとリスクを予測し、より的確な管理上の意思決定を支援するほか、2 時間ごとに結果を検討し、提供サービスの改善を図っています。

Morecombe Bay (英国の国民医療サービス) は卒中予防アプリを開発して、この人生を変える重大な問題が減少するようサポートしています。このアプリは、救急治療と一時治療の両方のデータをまとめて取り出し、医療専門家に提供する点でユニークです。また、先駆的でもあり、革新的かつ変革的な文化の進展を後押ししています。

オーストラリアの Aginic (Qlik パートナー) では、滞在時間予測アプリを作成し、展開しています。患者の来院時に初期スクリーニング情報が表示され、予測滞在時間がアルゴリズムによって計算されます。これにより、より適切な治療とカスタマーパッケージの処理が可能になります。さらに上流の患者フロープロセスでは、根拠に基づいた方法によって病床管理をより適切に行うことができます。

慢性疾患のリスクスコアリング、救急部門への再入院、予約の無断キャンセル、患者満足度、患者の自傷行為などの例もあります。

法執行機関の事例

エイボン・サマセット警察は、非常に現実的なビジネス上の問題を解決するために、予測的アナリティクスとビジュアライゼーションを産業的な方法で展開しました。従来の手法では、毎日、広範囲わたってリスクやリスクの拡大を把握し、弱者をプロファイリングすることは不可能です。また、指揮統制の枠組みの中で人の調査をリアルタイムに行うのは時間がかかり、それに費やした時間の分、他で効果的な対応ができなくなる可能性があります。一般的に対象者の調査にかかる時間は、組織全体で見るとかなりの時間になります。害悪の防止を目的とする場合、早期介入はきわめて重要です。

開発された弱者のリスクおよびプロファイリングアプリでは、迅速かつ簡単に対象者のプロファイルと概要が提供され、リスクと早期介入の機会を把握できます。このアプリは、役割プロファイル、タスク、および説明責任プロセスに組み込まれています。

アナリティクスのインサイト:

  • 毎日 60 万人のリスクを記録
  • リスクの優先順位付け
  • リスクが拡大している弱者を迅速に特定
  • 警察、地域警備エリア、警らの各レベルで対象者と関係者のプロファイルを数秒以内に表示

地方政府機関の事例

予測的アナリティクスの応用方法についての好例は、英国ブリストル市を拠点とする Troubled Families Program です。このプログラムでは、同市のこれまでの経験に基づいて、家庭が抱えている社会問題の全容をまとめ、明らかにしました。

Troubled Families Program の目的は、借金、ホームレス状態、精神衛生、家庭内暴力、不適切な育児、病気、薬物乱用などの問題に悩んでいる家庭を支援することで、地方議会、警察、公衆衛生、公的介護サービスなどと提携しています。

30 を超えるデータセットを安全かつタイムリーにまとめるプロセスは、ブリストルの Troubled Families Program が成功するうえできわめて重要でした。個別の事象から引き出されたデータは、個人別にグループ化されてから、家族や世帯に組み込まれした。データセット間のエンティティマッチングには細心の注意が払われました。データセットの品質を認識することで、より高度なアナリティクスアプローチが使用できるようになるためです。これは容易ではありませんでした。データセットの共有と調整には課題があり、特に重要だったのが、既存のパートナーと再交渉しながら、新しいパートナーと連携することでした。

このプロセスで重要なのは、予測的アナリティクスを使用して、スキーム対象者の個々のリスクを理解するという点です。これは、家庭内虐待の潜在的被害者から、市街抗争の危険にさらされている若年者、反社会的行動や児童の性的虐待の潜在的被害者まで、多岐にわたります。

期待される統合サービスアプローチへの移行

公共部門での真の予測的アナリティクスの適用は、今もなお限定的ですが、このような状況を変えることへの大きなニーズが生まれつつあります。公共部門には、先見性に優れたリーダーが数多く存在します。このようなリーダーは、スタッフが情報技術構造の制限の中で、新たな技術的可能性を広げられるようにすることにも投資します。この技術の可能性は「理解」され始めています。それを実現する意欲がリーダーにはあります。

公共部門の成果の向上は、1 つの機関のみの功績ではありません。ほとんどの場合、すべての機関の協力によって実現されます。たとえば犯罪を例に取ると、犯罪を減らすのは警察だけの仕事ではなく、医療、保護観察所、議会などが協力して取り組んでいます。多くの場合、最初の早期トリガーの兆候 (予測因子) は、医療機関などから報告されます。たとえば、弱者である大人が、麻薬を再開したり、アルコールをいつもより多く飲んだりしている場合、いずれ犯罪が発生する可能性が高くなります。

複数の機関にまたがって機能する予測的技術を活用することで、事後対応から事前対応に移行し、的を絞った予防活動をできるだけ早い段階で実行できるようになります。

すべての機関が、増加する需要に対応しながら、リソースを削減するという問題に取り組んでいます。統合サービスをさらに発展させるための強力な投資とビジョンがあります。ビッグデータと予測的アナリティクスは、公共サービスの成功と未来にとって非常に重要な役割を果たしているのです。

結語

予防よりも治療を優先することは、サービスの後退であり、敗北を喫することに他なりません。持続的で優れた公共部門を構築するには、できるだけ早い時点で需要、リスク、害悪を解消する必要があります。自信と創造性を持って予測的技術を適用すれば、組織を変革できます。私たちのリーダーには成功への青写真があります。変革を始めるのは今です。