Qlik Gold ClientはSAPのテストデータ管理製品で、SAP本番環境からデータのサブセットを取得して、データを開発環境、QA、サンドボックス、トレーニング環境といった非本番環境にインポートすることができる製品です。データをスクランブルする機能もあり、データの機密性の高い部分を安全に難読化してスクランブルすることができます。例えば、従業員の、名前や社会保障番号、住所、給与、電話番号、メールアドレスをスクランブルすることができます。つまり、実際の本番データに適切なセキュリティの処置を施して、安全性の低い非本番システムに入れて、非常に安全な方法で利用することができます。

Qlik Gold Clientが解決を目指している課題は、SAP運用におけるシステムコピープロセスです。多くのSAPの顧客は、クライアントコピーかシステムコピーを行っています。本番データベースのコピーと実際のコピーをバックアップし、QAシステムやサンドボックス上でリストアしたりしています。この方法にはいくつかの問題があります。

  • サンドボックスやQAシステムのサイズが本番環境のサイズになってしまいます。例えば、本番環境に20年分のトランザクション履歴がある場合には、非本番の環境にもその全てのデータを持ってしまいます。
  • 従業員のデータ、顧客のデータ、ベンダーのデータなどの本番データが、開発者など幅広くアクセスが可能な開発やサンドボックス環境に置かれてしまい、セキュリティ上のリスクが発生してしまいます。
  • バックアップとリストアには一般的には1週間ほどの時間が掛かります。また、システム上でデータベースの名前やRFCの参照先の変更、給与計算などで利用するプリンタ定義の修正、取引先や顧客との連携に関わるEDIの定義の修正などを手作業で慎重に行う手間がかかります。

SAPデータ管理の課題として、非効率的なデータ更新プロセスや、QAシステムや開発システムにおけるデータの品質の欠如、つまりテストの結果がは疑わしいということが挙げられます。また、S/4 HANAへのシステム移行の際のテスト環境の整備や移行手順のテスト実行に時間が掛かったり、規制上の要件、つまりデータの機密性についても課題があります。

image

多数のお客様のニーズにお応えするために、Qlik Gold Clientは2007年から認定を受けており、毎年再認定を受けています。最新バージョンでS/4の再認証を取得しているとともに、ERPだけでなく、その他のSAPアプリケーションや業界別ソリューションもサポートしています。また、GDPR特有の要件を扱うデータ保護のため、本番環境以外の環境にデータを移行する際の、個人を特定できる情報(PII)の難読化にも対応しています。

以下は典型的なSAPのランドスケープです。10TBのデータを持つ本番環境があったば、同様に10TBのQAシステム、検証システム、サンドボックスシステムを持っていることになります。そして、開発環境のデータサイズは本番などよりも小さくなっています。これは、開発環境ではシステム開発の過去の変更履歴がバージョン管理されて残されていますが、本番環境のシステムコピーで上書きするとこれらのバージョン管理の変更履歴が破壊されてしまうリスクを多くのSAPユーザーは認識しているため、それが行えないということによります。また、場合によっては、検証やサンドボックスの環境もデータが少ないということもあります。これは、半年前や数年前にシステムコピーを行ったが、そのプロセスに手間が掛かる非効率なデータ更新処理を行ったため、それ以降はデータを更新できていないということを示しています。また、10年前に販売注文は作成され、納品、請求書の発行、支払いがなされたデータが検証環境に含まれているかもしれませんが、それは古いバージョンのSAPで行われたかもしれず、現在のテストの目的に関連性の無いデータも含まれています。

image

それに対して、1ヶ月前に作成された注文で、請求はされているが支払いがされていないものは売掛金のプロセスをテストするのに最適な例ですし、2週間前に作成され、納品はされているが請求書が発行されていない販売注文は、請求書発行のテストシナリオで使用するには最適な候補となります。それらをQlik Gold ClientでキャプチャしてQAシステムに移すことができれば、テストの効率は大幅に向上します。本番で発生している実際のデータをテストし、それをテストすることで、今日作成されたデータに対して今日の変更をテストすることもできます。そうすることで、テストに最も関連性の高い結果を得ることができます。そして、変更管理プロセスにおけるエラーや問題点を明らかにします。最終的には、機能停止や問題の原因となる悪い変更を本番環境に統合する量を減らすことができ、ビジネスへの悪影響を防ぐことができます。また、同時に機密データをスクランブルすることもでき、セキュリティとプライバシーのリスクも軽減します。

image

データがエクスポートされると、データは共有ファイルシステムの圧縮ファイルに送られます。この共有ファイルシステムは通常トランスポートファイルシステムで、SAPの変更を開発から本番などに移送するために利用され、これらすべての環境間で共有されています。RFC、BAPI、iDocといったAPIや難しい方法を利用するのではなく、テーブルからファイルにデータをエクスポートし、ターゲットでファイルを読み込みんで、ターゲットシステムの同じテーブルにデータをインポートするというシンプルな方法を採用しています。その作業の際に、本番環境のクライアントのダウンタイムは不要です。

データは1つまたは複数のターゲットシステムにインポートすることができます。同じデータを引き出すために何度も本番環境からデータをエクスポートして、本番システムのリソースを何度も消費する必要がありません。

また、追加のハードウェアは必要ありません。クライアントは独立したのネームスペース上でSAPのアドオンとしてインストールされます。

image

データのスクランブルは、本番システムからエクスポートする前に処理されます。例えば従業員の情報をメモリに読み込み、それをファイルに書き出す準備ができると、名前、給料、社会保障番号、住所などをファイルに書き込む前にスクランブルします。 つまり、データが本番システムを離れることはないということです。さらに安全性を高め、データのインポート先のクライアントを制限することができます。例えば、従業員をエクスポートしているとします。ある開発やサンドボックスのクライアントは、人事担当者のためだけのもので、このエクスポートを指定して、これらの特定のシステムにのみインポートすることができます。そうすれば、誤って他のユーザーがアクセス可能な通常のQAシステムにインポートされてしまうことはありません。

image

Qlik Gold Clientは、ベースラインクライアントと呼ばれるものを構築する機能があるということです。Qlik Gold ClientはSystem Build Plusと呼ばれる機能があり、ソースシステムのリポジトリをエクスポートすることができます。リポジトリは、SAPのコアシステムのことで、ここには開発に利用されたり開発したデータ型やテーブル定義、プログラムなどが保存されます。本番環境に合わせてサンドボックス環境をこう付くするのではなく、ターゲットシステムにクライアントの設定をロードすることで、クライアント自体の設定を引き継ぐことができます。

そして、先ほどご説明したプロセスで、選択したマスターデータやトランザクションデータを持ってくることができます。本番データのサブセットをターゲットに持ち込むことで、柔軟性があり、簡単で、高速にテストデータ管理を行えます。

image

そしてターゲットへデータへインポート後、開発者はデータを消費します。データを消費していくうちに、例えば、本番環境から開発環境に持ってきた未決済の販売注文を、注文を納品して請求書を発行し、テストを行う内に全ての注文を使い切ってしまうということが起きます。もっと多くのテスト用のデータが必要になりますが、Qlik Gold Clientでは、元のエクスポートファイルを破棄していない限り、データを再読み込みすることができます。ターゲットのデータを削除して、元のエクスポートに戻って同じデータをリロードすることができる削除機能があります。この機能を利用することで、開発者はテストを続けることができます。このようなことは他のツールや方法では実現が難しいものとなっています。

かつ、一人がデータを使い果たしても、クライアント全体のデータをゼロから構築するのではなく、その開発者自身で問題を解決することができます。例えば、未決済の販売注文がなくなったりした場合、受注から入金までを検証するチームはデータを追加する必要があります。この時、クライアント全体のデータをゼロから構築する必要があると、例えば調達などを担当している他のチームの作業進捗に影響を与えてしまうので簡単には行えません。それに対してQlik Gold Clientでは、あるチームの開発者は自分達の対象のデータのみを開発環境に持ってくることができます。

image

Qlik Gold Clientは、直接ECCからS/4HANAへの移行を支援するための製品ではありません。S/4HANAへの移行にはSAP社が顧客に提供しているデータベース移行ツールがあります。ただし、Qlik Gold ClientはS/4 HANAへのシステム移行の際のテスト環境の整備や移行手順のテスト実行に役立てることができます。

以下の例では、このユーザーはSAP ECC 6.0を使っておりS/4HANAへの移行を予定います。彼らはHANAに移行することをテストしたいと考えていますが、問題は移行対象のデータが 10TBと巨大であることです。それをテストするのに十分な検証システムは持っておらず、手順の確認に膨大な時間が掛かることが予想されます。Qlik Gold Clientはこのような状況で、作業をより単純化することができます。以下の例ではQlik Gold Clientを使って新しいSAPのPOCシステムを構築して、500GBのデータしかないクライアントを構築しています。このPOCシステムを利用して、新しいS/4 HANAへの移行のテストを行います。この時、データは少なくなっているため、より短時間でかつより少ないシステムリソースを使って手順を確認することができます。また、クラウドへの直接の移行をテストすることもできますし、アップグレード先のS/4 HANAのシステム上で動作や設定を検証したり、アップグレードに掛かる時間も大まかに想定することもできます。

image

以下がQlik Gold Clientのサポート対象のシステムとなります。Qlik Gold Clientは、ECCやS/4 HANAに加えてすべての ABAP ベースの SAP コンポーネントをサポートしています。

image

また、Qlik Gold Clientは2007年から認定を受けており、毎年再認定を受けています。最新バージョンでS/4の認証を取得しています。

image