現場サポートから管理業務まで

ブログ著者:Paul Barth   本ブログは Data Literacy and the Colin Powell Rule の翻訳になります。

コリン・パウエル氏が「リーダーは不確実性の程度に応じて重要な決断を下さなければならない」と述べたことは有名です。必要なデータが 40% も揃わないうちに行動するのは無謀です。しかし、70% を超えるまで待っていると命取りになることがあります。時間と確実性のバランスを取ることは、すべての組織にとっての課題です。

不確実性はすべての企業のあらゆる場所に存在し、方針、プロセス、統制によって排除することはできません。不確実性の原因となるのは、市場、競合他社、社会、技術、労働力、期待、価値観などの予期せぬ変化です。企業は日々変化に直面しており、変化に迅速に対応する必要があります。

企業が変化とそれに伴う不確実性に対処するための手段がアナリティクスです。状況を調査し、根本原因分析を行い、代替案を評価して、対応策を実行するのです。分析の実行に必要なデータをすばやく集められるほど、決定を下して対応するまでの時間が短くなります。パウエル氏の法則に従い、企業は常にスピードと確実性のバランスを取っています。的確な決断であるだけでは不十分で、適切なタイミングで的確な決断を行う必要があります。

変化に迅速に対応する必要があるため、アナリティクスの俊敏性が求められています。これまで他のいくつかのコラムで、答えを得るまでの時間を短縮する方法として、セルフサービス型データのデータマーケットプレースおよびユーザーコラボレーションの利用について説明してきました。しかし、アナリティクスの俊敏性には他にも重要な要素があります。それがデータリテラシーです。

MIT の定義によると、データリテラシーとは、データを読み取り、使用、分析し、データを使って議論する能力を意味します。プロのデータサイエンティストやシステムアナリストの間では、このようなスキルの習得は、業界で存続し続けるための必要コストだと考えられています。しかし真の俊敏性を実現するには、組織の従業員全員がデータリテラシーを身に付ける必要があります。現場サポートから管理業務まで、すべての従業員が対象となります。流行りの言葉で言えばデータとアナリティクスの「民主化」ですが、これを実現している企業はほとんどなく、それがもたらす影響は重大です。

Wharton と IHS Markit は、データリテラシーの必要性に関する業界組織の独立系コンソーシアムであるデータリテラシープロジェクトの依頼を受けて、600 以上の会社のデータリテラシーを評価しました。調査の結果、データリテラシーの高い大企業は、同業他社と比較して企業価値が 3~ 5% 高いことがわかりました。企業価値が向上した原因の 1 つとして、データリテラシーの高い企業では、より迅速にアナリティクスを使って変化に対応できる点が挙げられます。

たとえば、数年前、消費者向け製品の会社が、顧客の声を活かすプログラムを開始し、アナリティクスチームを設置して製品開発に対する一般顧客のフィードバックを収集しました。ある地域で飲料製品の 1 つについて苦情が殺到した週がありましたが、同社はアナリティクスを使ってその原因が特定の製造工場にあることを突き止めました。工場長に電話で確認したところ、その月に主要原料の供給業者が変更されたことがわかりました。問題が上申された後、同工場は供給業者を元の業者に戻して、苦情は減少しました。

このような軌道修正は、業界標準であるべきもののように思われますが、実際にはそうではありません。アナリティクスサプライチェーンの重要な要素が欠けていることは珍しくありません。たとえば、実際の客観的根拠の収集と合成を行うプロセスが欠けていることもあれば、予期しない業務上の問題を特定して根本原因を突き止めたり、獲得したインサイトから直接行動を起こしたりすることのできるデータリテラシーの高いチームが存在しないこともあります。これらの要素が欠けている場合、集約された売上報告書の中に一地域での売上減が埋もれてしまい、管理職が問題を認識も対応もできないために、引き留められたはずの顧客を逃す結果になる事態はたやすく想像できます。大企業ではこの影響が増幅され、企業は緩やかに弱体化していきます。

従業員のデータリテラシー強化には 3 つの要素があり、それらはすべて実際に導入できます。

  • スキルの習得: 組織内のあらゆるレベルでリテラシーを向上させるためのオンラインの無料カリキュラムがあります。経営陣は、認証の取得に対して報奨金を与えたり、表彰したりすることができます。また従業員は、その多くがデータ経済における貴重な専門的能力開発としてカリキュラムを利用しています。
  • データ資産: データは検索、理解、アナリティクスのための準備が容易でなければなりません。今日、データマーケットプレースは、オンプレミスまたはクラウドに迅速かつ手軽な価格で設置して、アナリティクスコミュニティをサポートできます
  • アナリティクスツール: もう一方の AI、つまり拡張知能は、アナリティクスと機械学習を使って人間の意思決定に取って代わるのではなく、意思決定を支援します。最新のツールは視覚的でインタラクティブなだけではありません。よく使われるアナリティクスは、分析の手順を示し、コーディングではなく自然言語でやり取りするほか、チームメンバー間のコラボレーションをサポートします。

データリテラシーは、従業員の生産性と意欲を高めるだけでなく、組織の回復力を高めます。絶え間ない変化とそれに付随する不確実性への対応が通常業務となり、事後対応的な企業文化を脱して、自信に満ちたイノベーターとなる文化へと転換できます。アナリティクスの俊敏性はビジネスの俊敏性を促進し、それを達成した企業は競争において頭角を現すことができます。