「BI ツールは進化して、人とロボットが協調しながらビジネスを変革するためのデータ分析基盤となる」
- 新カントリー・マネージャー今井浩が語る 2020年の Qlik(第 2 回)谷川 耕一 / 2020年 1月 17日

2019年 10月にクリックテック・ジャパンの新たなトップに就任した今井浩カントリー・マネージャー。入社後 3 ヶ月を経て、Qlik のあるべき姿に向け走り始めています。フリーランスジャーナリストとしてデータ活用や BI に一家言ある私、谷川耕一が、IT エンジニア、専門誌編集者、さらに日本オラクルのマーケティングを経験した立場から、今井さんが描く 2020年の青写真に切り込みます。

2 回目となる今回は、BI ツールがデータ可視化のツールからビジネスユーザーが簡単に利用できるデータ分析基盤へと進化しつつあるとの話題を取り上げます。デジタル変革を起こすべくデータ分析基盤となるための要件とは。その要件に Qlik はどう取り組んでいるのかを掘り下げます。

可視化からビジネスユーザーも簡単に使えるデータ分析基盤へ

前回も触れたが、デジタル変革とは、デジタル化でさまざまなデータを取得し、収集したデータを分析して知見を得て、知見を使って新たなビジネス価値を生み出すことだ。アナログだったプロセスをデジタル化するだけでは、変革にならない。知見を使い、ビジネスの大幅な効率化や、まったく新しいビジネスを生み出すところまでできて始めて変革だ。

変革のためには、デジタル化で生み出されるデータを確実に集め、ビジネス現場の人たちがすぐにデータ分析できるようにしなければならない。収集したデータを可視化するだけではだめ。多彩なグラフなどで「見える化」できると「仕事をした感」も出てくるが、ビジネスは変わらない。見える化したことで、無駄を見つけて解消し、コストを削減したり、多少は生産性の向上にも貢献できたりするだろう。しかし、これらは守りの IT の範囲だ。

デジタル変革を起こす攻めの IT で求められるのは、「データの可視化ツールではなく、ビジネスの中でデータを活用するためのデータ分析基盤です」と今井さん。新たなものを生み出すクリエイティブな領域での IT 活用を目指しているのが Qlik だと言う。

ところで、現状の BI ツールでは、機械学習機能や高度な統計解析機能を搭載しているところに目が行きがちだ。 AI や機械学習が革新的な技術であることは間違いない。しかし、今や多くの BI ツールが当たり前のように取り込んでおり、もはや差別化ポイントではない。データを分析して得られる知見をいかに容易にビジネスプロセスに組み込み、価値に変えられるかこそが重要であり、そのために AI や機械学習技術を活用し、データ分析作業そのものを効率化できるかがポイントだろう。

「人がやらなくて良いことは AI やロボットに任せ、それ以外のところを人間が行うようにします。ロボットと会話しながらデータ分析を進めることで、人はよりクリエイティブな仕事ができます」と今井さんは言う。そして、むしろ現状の世の中の人手不足な状況はチャンスだとも。つまり人が足りないのだから、足りないところで積極的に AI やロボットを活用する。そうすれば自ずと人間が行うべきところに集中でき、結果的に人はよりクリエイティブな仕事をするようになるわけだ。

これらを考慮した上で、デジタル変革を現実化するデータ分析基盤の条件を考えると、可視化のツールにとどまらず、ビジネス現場の人が理解しやすく直感的にデータ分析ができること、さまざまな人が分析を行う際に欲しいデータが苦労なく取得でき、すぐに分析に利用できること、データ分析から得られた知見をビジネスプロセスに組み込んで新たな価値を見いだせるようになっていることが挙げられる。そして、AI や機械学習の技術を活用し、人がよりクリエイティブな作業に集中できるツールであることも重要な要素となるだろう。

Qlik がデータカタログとデータインテグレーション・ツールを統合化した意味

デジタル変革のためのデータ分析基盤となるべく、Qlik はどう進化しているのか。まず、ビジネスユーザーがより使いやすくするためには、直感的に使えるユーザーインターフェイスにする。しかし、これにはどの BI ツールベンダーも既に取り組んでいる。
Qlik がユニークなのは、使い勝手の良さを本質的に支えるデータカタログの存在だ。データカタログはデータをカタログ化したもので、データを整理しインデックスなどをつけて、誰が見てもそのデータがどんなものかがすぐに理解できるようにしたものだ。2018年 7月、Qlik はデータカタログ機能を提供する Podium Data を買収し、データカタログの技術を手に入れた。データカタログ機能の Qlik Data Catalyst は、さまざまな場所にあるデータに対し、自動でデータを準備する機能と、メタデータによる誰でも理解しやすいデータ管理を実現している。Qlik Data Catalyst を用い、安全にデータを Qlik Sense などに渡して分析ができる。つまり、ビジネスユーザーは、データが格納されているデータベースシステムを理解する必要もなければ、データにアクセスするために SQL を憶える必要もないのだ。

通常は、誰でもデータ分析ができる環境を用意しようとすると、データベース管理者などがあらかじめ分析に使うであろうデータを整理、収集し、BI ツールでアクセスできるようにしておかなければならない。従って、セルフサービス BI と言っても、実際は誰かが手間をかけて用意した環境の中に限った話なのだ。

Qlik Data Catalyst があれば、企業内にあるデータソースを設定しておくだけで、散在するさまざまなデータに簡単、安全にアクセスし、利用できる。ビジネスユーザーが決められた範囲の中で限られた分析をするだけでは、データを活用するクリエイティブな業務になかなか結びつかないが、Qlik Data Catalyst があればその問題を解消できる。

Qlik では、データインテグレーション・ツールの存在も特長的だ。2019年 2月に買収した Attunity 社の製品は、世間ではデータ移行ツールとして知られる。オンプレミスの異なるデータベース間や、オンプレミスからクラウドへの移行などで多くの実績がある。一方、Qlik が提唱するデータ分析基盤では、動的なデータインテグレーション・ツールとして利用する。たとえば、ビジネスユーザーから Qlik Data Catalyst 経由でデータ取得のリクエストがあれば、裏側でデータインテグレーション・ツールが動き、データソースから最新のデータを自動で取得してくれる。

「2 つの製品の買収は、データ分析基盤を構成する上で大きな意味があります。データの取得からデータ分析に至るエンド・ツー・エンドの製品を揃えているのは、Qlik だけでしょう」と今井さん。どんなに分析機能が優れ使いやすいインターフェイスでも、欲しいデータが簡単に手に入らなければ意味はない。セルフサービス BI と言うならば、データ取得部分も含め、真に誰でも使いやすいものになっていなければならないのだ。

BI ツールは、今後は人とロボットが協調していくためのツールに進化する

もう 1 つ、データ分析で得られた知見をビジネスプロセスに容易に組み込めるようにする部分で鍵となるのが、Qlik Sense の提供する拡張知能と連想インデクシング(Associative Indexing)だ。Artificial Intelligence(人工知能)の略語である AI の技術は、時にブラックボックス化する懸念がある。人工知能が導き出す答えが、本当に正しいかが簡単には分からないのだ。こういった課題のある人工知能に対し、Qlik が提唱するのが人の行う意思決定をサポートする Argument Intelligence(拡張知能)だ。

機械学習でデータを解析し、何らかの知見が得られても、どう解釈すれば良いかが難しい。ましてや、知見をビジネスプロセスに適切に組み込み反映させるのも簡単ではない。とはいえ、これができなければ、知見がどんなに素晴らしくても先には進めない。そのため、多くの BI ベンダーが得られる知見を自然言語で表現するとなどの工夫を始めている。

Qlik では、独自技術の連想インデクシングと拡張知能でコンテキストを認識した提案を行い、隠れたインサイトをユーザーが特定するためのサポートをする。機械によるインサイトの提示の自動化、会話的なアナリティクスと自然言語での表現、さらに機械学習技術を用い、より関連性の高いインサイトの提案を行うのだ。つまり機械学習などで高度なデータ分析ができるだけでなく、高度なデータ分析をより簡単に行うためのサポートのところでも AI や機械学習を使っている。

ビジネスプロセスをロボットに置き換えるのではなく、ボットと対話しながら協調してより良い答えを導き出し、ビジネスに反映しやすくする。そのようなアプローチを行っているのが、Qlik だ。「ロボットと会話しながら進める状況は、あらゆるビジネスプロセスに組み込まれているべきです」と今井さんは指摘する。そういう時代が間もなくやってきて、それを Qlik で実現するとも言う。

BI ツールが、便利なデータ可視化ツールから大きく変化しつつあるのは間違いない。変化の中で、AI や機械学習などの新しい革新的な技術をどう使うのか。徹底的に人のサポートのために使えれば、人とロボットが協調しながらビジネス変革ができるようになるだろう。そうなれればもはや BI ツールとは呼ばれないはずだ。まさに新しいデータ分析の基盤であり、データを介して人とロボットが協調するためのツールとなるはずだ。

新カントリー・マネージャー今井浩が語る 2020年の Qlik(第 1 回)

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