ブログ著者:Mike Potter, Qlik CTO
本ブログはWhat Data and Analytics Will Look Like in the Post-COVID World の翻訳になります。

新型コロナウイルス感染症により、社会の在り方やビジネスの進め方の大部分が一変しました。組織にとって最も大きな影響の 1つは水面下で進行しています。企業は今、生き残りと競争力維持をかけ、自社が所有するデータの価値を最大限に高められるように、自社のデータ資産へのアクセスを管理する方法を急いで変えています。

現在、ほとんどの組織が抱えているのが、データとアナリティクスに関する今後数年間の戦略を左右する難題です。誰に、どのような目的で、特定のデータへのアクセス権を持たせるべきか?データを活用して業務を効率的に行うためのスキルセットやマインドセットが従業員にあるか?データの最適化やユーティリティの導入に必要なテクノロジーとは?短期的な成功と長期的な成功を実現する新たな運営方法に確実かつスムーズに移行するために、変更管理を効率的に実施し、従業員を最大限に活用するには、どうすればよいか?要するに、真のデータ主導型組織になるには、どうすればよいのでしょうか?

クラウドと SaaS への大規模な転換が鍵

こうした組織が本当に重視しているのが、データとアナリティクス統合戦略です。今後数年間にわたり市場は激しく変動するでしょう。このニューノーマルに対応するために機会を捉えて素早く方向転換するには、統合戦略が欠かせません。これにいち早く気が付いたのです。その戦略の大きな軸になるのが、クラウドと SaaS 導入の加速です。

実際、Qlik のお客様の多くが、SaaS とクラウドベースのデータモデルとアナリティクスモデルの展開計画を大幅に加速させています。これにはデータの保存、取り込み、提供、セルフサービスアナリティクスなど、データサプライチェーンのライフサイクル全体が含まれます。この方向転換に抵抗し続けている企業は、それまで手にしていた競争優位性を急速に失っていくでしょう。従来型のオンプレミスのデータ環境に固執していると、スケーラビリティとコスト削減という大きなメリットを逃すだけでなく、クラウドや SaaS にデータとアナリティクスを展開することで得られる俊敏性や、データへのリアルタイムアクセスも手に入りません。これらのメリットを得ることで、企業は他の領域に投資し、より安定した競争優位性を確保できます。

ただし、SaaS やクラウドベースのモデルを重視しているにもかかわらず、多くの組織が、この加速には本質的な文化的課題が伴うことを忘れています。現場の作業員から上級幹部まで、全員を巻き込んで組織全体で新しい働き方を受け入れる方法を考えなければなりません。また、同じくらい重要なこととして、データとアナリティクスの環境を管理する IT とテクノロジーの専門家に、データの門番ではなく、従業員のデータのセルフサービス活用を支援するという新しい役割を受け入れてもらう方法を検討する必要もあります。

データとアナリティクスにおけるコンフォートゾーンからの脱却

最高経営幹部とデータスペシャリストはともに、データセキュリティ、データ主権、データ統制に関するそれぞれのコンフォートゾーンから追い出されつつあります。データ民主化を目指す組織が SaaS とクラウドの導入を開始したとしても、それはデータ主導型文化の創出を妨げている障壁の 1つに対処しているに過ぎません。組織はさらに、先入観に由来する概念的な障壁を取り除く必要があります。つまり、従業員をデータに関する教育を受けた者とそうでない者に分けて考えるのをやめなければなりません。思い込みに由来するこのギャップには、すぐに実践可能ないくつものソリューションやアプローチで対処できます。アナリティクスプラットフォームに組み込まれている拡張知能の進歩はめざましく、初心者ユーザーでも自信をもってデータを探索し、成果を得ることができます。データスキルの民主化に役立つデータリテラシーの取り組みや無料のトレーニングも、ますます盛んになっています。組織はこれらのツールやトレーニングを活用して、IT の専門家やアプリ開発者、ウェアハウスアーキテクトに限らず、すべての従業員がデータを使用して仕事をこなせるような文化を創出する必要があります。

セルフサービスによりアナリティクスは民主化され、従業員はより多くのデータにより手軽にアクセスできるようになります。こうした状況において、IT アナリストとビジネスアナリストは、コアダッシュボードの作成やデータリポジトリのセットアップ以外で自分たちの存在意義を示すよう変わることが求められています。アナリストたちに期待されるのは、変化の仲介者となり、あらゆるスキルレベルのユーザーがアナリティクスのエコシステム内で貢献を果たせるような文化を育むことです。データスペシャリストには、旗振り役となり、組織のあらゆる階層のユーザーに対して、セルフサービスで問題を解決したり臨機応変なユースケースを作り出したりするよう推奨することが求められます。IT 部門にとって今は、データスチュワードやイネーブラーとして、データの整理や提供、プロセスの改善余地の特定、ビジネスチャンスの見極め、業務の効率化の推進について新たな方法の企画支援を行うチャンスです。

データスペシャリストは変革のエバンジェリストや推進者に

上記のシナリオは、データ資産活用の鍵を握る人物が、このような進化、つまり作る側からエバンジェリストや推進者への転身を、自分の価値や存在意義への脅威とみなしていない場合に限定されるものです。もちろん、転身後もスチュワードとして、コンセプトから展開に至るまで、システムの機能を維持したり、データおよびアナリティクス環境の規制準拠を確保したりする役割は残ります。しかし、このようなスペシャリストは、データに詳しいユーザーが増えることで、自分が不要になったり、周辺に追いやられたりすると思う必要はありません。むしろ、役割が拡大すると受け止めるべきです。自らの役割が触媒となり、データリテラシーの向上を主導して会社に大きな価値をもたらすことになったのだと認識する必要があるのです。また、スペシャリストだけでなく、組織で働くすべての従業員がデータによる支援をキャリア向上のターニングポイントと捉え、それぞれのキャリアを高め、全員で会社の繁栄を支える意識を持つべきです。

これは、今日を生き残るための嘘偽りないメッセージです。危機と困難の時こそ、既存のやり方を乗り越え、過去の慣行を変革し、先入観を取り払って外を見ることで進化するチャンスです。当初は不況と縮小の時代と思われていたコロナ禍とコロナ後の世界も、再定義と成長の時代になりえるのです。生まれたての新興企業から創業百年を超える数十億ドル規模の国際企業まで、世界中のあらゆる組織にとって、今こそ新しいデータモデルとアナリティクスモデルを採り入れる時です。