ブログ著者:Tom Ricks  本ブログは The Power of Data and Analytics To Help Opening the Workplace の翻訳になります。

業務プロセスが元に戻りつつある中、意思決定プロセスにおける人事データとアナリティクスに注目が集まっています。世界中でリモートワークがすっかり定着しました。新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務が可能な人にとってはそれがニューノーマルになりました。ここ数年にわたって徐々に進行していた傾向に拍車がかかり、大半の企業が適応しました。この大規模な方向転換に大きく貢献したのがテクノロジーです。特に、従業員がほぼすべての場所から生産的に業務を遂行できるようになる、SaaS とクラウドへの移行が大きな役割を果たしています。とはいえ、対面でのやり取りや職場の文化がなくなることで、失われたものがあることも確かです。多くの企業がオフィスの再開のため、調整を行った上で安全に進める方法を検討し始めています。そして、自社の戦略を支えるため、また状況が変化した場合の監視の継続に役立てるために、より多くのデータが必要なことを認識しつつあります。

データ主導型の人事担当者にとって、これは長らく待ち望んでいた、またとないチャンスです。リモートワークへの移行を支援するツールによって本来作成されるデータが提供できるのは、従業員の所在地、テクノロジー導入状況、パフォーマンスしきい値に関する独自のシグナルです。これにより、人事部門はかつてないほど広範なデータの組み合わせにアクセスできます。このデータの価値を最大限に引き出すための鍵となるが、データを分析して人事関連の戦略に適用する方法と、それをより大きなビジネス上の意思決定の枠組みに組み込む方法です。

人事部門は従業員の所在地と人口統計データへのアクセス権があり、これを地理空間データ、施設データ、生産性指標といったその他のソースと統合することで、それぞれの従業員の状態に関するより包括的な概要を作成できます。そうすることで、個々の従業員の総合リスクスコアを算出できるのです。定量的データを定性的な知識や支援業務と組み合わせる際、人事部門はプライバシーガイドラインを厳格に守ることが望ましく、また必須とされています。この取り組みにより、企業は従業員のリスクプロファイルを詳細に把握でき、最初にオフィスに戻すべき従業員とそうでない従業員を選り分けたり、どこに配置すれば安全なのかを見極めたりできます。人事部門はデータに対するこの戦略的な取り組みにより、次の 3 つの方法で意思決定において中心的な役割を果たすことになります。

従業員の所在地の把握

オフィス復帰を計画する際には、従業員のデータに基づく総合的な地理情報データマップを作成することが必須です。オフィスのレイアウトとキャパシティが主な検討事項であることはもちろんですが、出勤経路のプロファイルも同じくらい重要です。従業員がどうすれば安全に通勤できるか(またはできないか)を、オフィス復帰の候補者を選定する際に考慮する必要があります。人事部門はロジスティック関連のデータを使用することで、公共交通機関を利用する従業員の人数と関連リスクを割り出せます。これは、大都会の大きなオフィススペースから郊外のオフィスへの移転の検討を促す要因の1つです。移転は最終的な運用コストにも大きな影響を与える可能性があります。オフィスの移転先を決めるときには、従業員の自宅に関する地理空間データ分析が役立ちます。

包括的な生産性 KPI

従業員の生産性については、在宅勤務や同僚とつながるためのソフトウェアに依存しているにもかかわらず、集中力とデータ量の点で大幅な向上が見られています。高度な生産性データモデルに慣れていた人にとっては、これは意外なことかもしれません。在宅勤務による生産性の向上が現実に起きているのです。事実、先日 Gallup 社が実施した調査によると、労働者の半数以上(59%)が新型コロナウイルス感染症の収束後も可能な限り在宅勤務を続けたいと回答しています。かねてから薄々感じられていたこと、つまり仕事で重要なのは何をするかであって、どこで仕事をするかによってパフォーマンスは決まらないということを、データが示しているのです。貴社の文化がこのパターンに該当するのであれば、オフィスの規模と経費を適切に抑えることで、コストの削減だけでなく従業員の忠誠心と定着率の向上を促進できます。

職務と性格

生産性がオフィス復帰ポリシーの基盤となる主要な指標であることに変わりはありませんが、意思決定プロセスでは職務と性格にもそれぞれの役割があります。たとえば、営業やお客様対応を担当する職務は、直接対面してのやり取りから大きな恩恵を受けるものの 1 つです。とはいえ、ソーシャルディスタンスが求められる現実を踏まえると、広い会議室にわずかな人数を離して座らせたところで、得られるものよりも労力のほうが多くなるかもしれません。

内向的な従業員、つまりバックオフィス業務を好む従業員について考えてみましょう。こうした従業員は単独で働くことを好んではいますが、正式な会議以外で仕事に役立つ情報が得られる、オフィス環境ならではの非言語コミュニケーションやふとした出会いがなくなり困っているかもしれません。最初にオフィスに戻す従業員を決定する際には、役職、職責、規制を包括的に考慮する必要があります。

人事部門は、包括的かつ安全なオフィス復帰計画を作成するにあたり、IT 部門や施設部門などと並んで重要な役割を果たします。人事部門に加わってもらうことで、リーダーはスマートな戦略を実行するために必要な情報を入手して、従業員全体にとって適切な意思決定を下すことができます。