はじめに

メジャーバージョンアップとなるQlik Sense 2.0が先月の2015年6月末にリリースされました。このエントリでは、Qlik Sense 2.0の主な新機能や新たなサービスについてご紹介させて頂きます。

Qlik Sense Enterprise 2.0

Qlik Sense 2.0からは、これまで提供されてきたサーバー製品が「Qlik Sense Enterprise」という名称で提供されることになりました。以下がQlik Sense Enterpriseのコアな部分に関わる新機能となります。(尚、サーバー側に特化した機能であるSAML認証を除いては、無償で利用可能なQlik Sense Desktopでも以下の機能を同様に利用可能です。)

ODBCコネクタ & SFDC

ODBCコネクタライブラリとSFDC(Salesforce)コネクタが利用可能となりました。ODBCコネクタライブラリを利用すると、以下の様にQlik Senseのウィザード上からクリックでデータソースの種類を選択して接続情報を入力することで、よりユーザーフレンドリーな形で複数データソースからデータを取得することが可能となります。

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例えば上記画面から「Cloudera Impala」を選択し、接続情報を入力します。

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テーブル一覧とデータプレビューが表示されますので、後は取り込むテーブルを選択してデータのロードを実行するとデータの取込みが完了します。このように、ウィザードベースでデータ取り込み機能が強化されました。

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尚、ODBCコネクタライブラリでは、以下のデータ接続の種類が提供されています。

  • Apache Hive
  • Cloudera Impala
  • IBM DB2
  • MS SQL Server
  • MySQL Enterprise Edition
  • Oracle
  • PostgreSQL
  • Sybase ASE
  • Teradata

データ準備・プロファイリング(Smart Data Load)

Qlik SenseやQlikViewでは、取り込んだ複数テーブルに同名の項目が含まれる場合、これらをキー項目としてテーブルを自動的に関連付けてデータモデルを作成してくれていました。Qlik Sense 2.0ではよりインテリジェントな機能が組み込まれ、データのプロファイリングを実行してテーブル関連付けの推奨を行ってくれる機能が追加されました。

この機能により、例えば以下の様に2つのテーブルがそれぞれ「得意先コード」と「得意先ID」という異なる名称でキー列が定義されていた場合でも類似するデータがどの程度含まれているか判別し、マッチ度が高い列の組み合わせ(以下の場合では99%がマッチ)として推奨を提示してくれます。

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また逆に、同名の列項目であってもこれらに含まれるデータが異なる場合、警告が表示されて関連性の関連付けを解除するように推奨を表示してくれます。

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これらの機能により、データ分析の前段階で必要なデータ準備をより効率的に行うことが可能となります。

散布図でのスマートなデータポイント表示(Smart Data Compression)

新たに組み込まれたSmart Data Compressionの機能により、数万、数億といった数のデータポイントを散布図で視覚的に分かり易い形で表示させることが可能となりました。

まず、多数のデータポイントを全て表示しようとした場合、以下の様にデータの密度を色の濃淡で表現することでデータの意味を失わず、かつ視覚的に判別しやすい形で全体像が表示されます。

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データの一部をズームアップしてみると、以下の様に各セルごとのデータポイント数も表示されます。

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さらにズームアップすると、以下の様に個々のデータポイントが独立して表示されます。

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このように、数万、数億といった膨大なデータポイント数が存在する場合でも、より洞察が得易い形で散布図を利用することができます。

プリント&エクスポート

シートやチャートをPDFや画像としてエクスポートする機能が追加されました。

以下の様にメニューから「シートをPDFにエクスポート」を選択します。

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次にサイズや解像度などの出力設定を行います。

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そうすると、以下の様に画面イメージをPDFにエクスポートすることができます。

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尚、シート全体だけではなく、各チャート部品単位で画像やPDFにエクスポートすることも可能です。

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演算実行条件

以前からQlikViewで利用できた演算実行条件の機能がQlik Senseでも利用可能となりました。

この機能により、設定した条件が満たされていない時に演算を実行させず、ユーザビリティーやレスポンス性を高めたり、無駄なCPUリソースの消費を避けることが可能となります。

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演算実行条件が満たされていない状態では、上記の様に演算実行を行わず、条件を満たした場合(この例では「Customer Country」で選択を行った場合)のみに演算を実行してチャートに結果を表示させる制御が可能となります。

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SAML認証への標準対応

SAML認証に標準機能で対応できるようになりました。前バージョンではSAML認証を行うためにはコーディングが必要でしたが、QMC(管理コンソール)上での設定によりSAML認証の設定を行えるようになりました。

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これにより、例えばSalesforceやADFSとのSAML認証による連携がより容易に行えるようになりました。

Qlik DataMarket

クラウドベースで分析に利用可能なデータセットを提供する、「Qlik DataMarket」というData-as-a-Service (DaaS)の提供が開始されました。

このサービスの利用により、Qlik SenseのウィザードからQlik DataMarketに直接アクセスして必要なデータセットを選択し、取得することが可能となります。QlikMarketでは現在、追加為替レート、天候、人口統計、経済統計などの各種データセットが提供されています。

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例えば上記画面から「Currency」のカテゴリを選択し、取得するデータセットを選択します。「プレミアム」となっているデータセットは有償で利用に当たっては別途ライセンス契約が必要となりますが、そうでないものについては無償で利用が可能となっています。

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以下の様にベースの通貨を選択し、為替レートを取得したい対象通貨を選択して取得対象のデータ期間を指定すると、指定した通貨の為替レートのデータセットを取得することができます。

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この様なQlik DataMarketのデータを活用することにより、例えば円建てで持っている売上データをQlik DataMarketの為替レートデータを使って別通貨建てに売上データを変換したり、Qlik DataMarketから天候データを取得して売上との相関性を分析したりすることが可能となります。

尚、特定業界向けの専門的なデータなども今後提供されるようになる予定となっています。

Qlik Analytics Platform (QAP)

Qlik Sense Enterpriseのサイトにログインし、アプリケーションやチャートを選択してデータ分析を実行する、といった一般的な利用方法ではなく、Qlik Senseのチャートをマッシュアップや別サイトへの埋め込むなどの利用に特化したライセンスが新たに提供開始となりました。このAPIプラットフォーム、もしくは開発者向けプラットフォームとしての提供形態が「Qlik Analytics Platform(QAP)」となります。

Qlik Analytics Platform(QAP)では、コアのQIXエンジン、API、開発ツールセットが利用可能となっています。これらを利用して、当サイトの以前のエントリでご紹介した以下の様な形でマッシュアップサイトを作成し、外部に公開することができあmす。

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Qlik Senseでマッシュアップのサイトを作成

また、当サイトでQlik SenseチャートのSharePointサイトへの埋め込み方法を以前ご紹介しましたが、同様な形で他のウェブサイトにQlik Senseチャートを埋め込む形でもQlik Analytics Platform(QAP)を利用することが可能となります。

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SharePoint 2013サイト・ページへのQlik Senseチャートの埋め込み

利用シーンとしては、既にお客様が提供されているソリューションなどにQlik Senseのチャートを埋め込み、Qlik Senseのデータ分析機能をソリューションの一部として活用するOEMとしての利用や、外部サードパーティー向けに公開されるエクストラネットにQlik Senseのチャートを埋め込んで利用するサードパーティー利用などが想定されています。

「プラットフォーム」としてのQlik製品群

以上、Qlik Sense 2.0の個々の新機能や新サービスについてまとめさせて頂きましたが、Qlik製品全体の方向性としてはプラットフォームアプローチ強化への方向性が示されました。

Qlik Analytics Platform(QAP)がコアな機能を内包する基盤として位置づけられ、その上でQlik Sense、QlikView、Qlik Sense Cloud、QlikView NPrintingの各製品を提供されます。これらの製品・ソリューションにより分析、データ、クラウドに関わる各種のユースケースやニーズに対して個別にではなくプラットフォームとして総合的に対応していくことを目指しています。

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また、特に「分析」にフォーカスしてみたときに、「分析」に求められる「セルフ・サービス探索」、「ガイデッド・アナリティクス」、「レポーティング」、「エンベデッド分析」という一連のユースケースに対して、Qlik製品群がプラットフォームとして対応していくことが意図されています。

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