Qlik Senseとは?

ビジネスの現場では、例えば手元にある売上データからトレンドのチャートを作成してビジュアルなレポートを作成したい、顧客や支店などのデータと紐付けてデータをセグメント毎に分析したいなど、様々な切り口から分析を行うニーズがあるかと思います。Qlik Senseはこういったエンドユーザーの要望に応えるため、複数のデータを取り込み、ドラッグ&ドロップで短時間でインタラクティブなグラフやチャートなどの作成を実現する製品になります。

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このような、エンドユーザー主導型でデータ探索や分析を行える機能を提供する製品は、一般的に「データディスカバリ」ツールと呼ばれます。この分野では、主要ツールとして「QlikView」という製品が以前から利用されているのですが、「Qlik Sense」は「エンドユーザーが直観的かつ簡単に利用できる」ことに重点を置いた製品となっており、2014年7月に新たに発表されました。

Qlik Senseの製品構成

では、まずQlik Senseの製品構成を見ていきたいと思います。大きく分けると「Qlik Sense Desktop」、「Qlik Sense Cloud」、「Qlik Sense Enterprise」というラインアップとなっています。

「Qlik Sense Desktop」

Qlik Sense DesktopはローカルPC上に導入して利用する製品となります。尚、この製品は無償で利用が可能となっており、以下からダウンロード可能です。

>>Qlik Senseダウンロードサイト

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QlikViewもPersonal Editionという無償版が用意されていましたが、あるユーザーが作成したアプリケーションを他のユーザーが他のPC上で開いて利用することはできませんでした。しかし、Qlik Senseではこの制限が無く、他のユーザーと共有することも可能となっており、無償で利用できる範囲が広くなっています。

「Qlik Sense Cloud」

上記Qlik Sense Desktopで作成したアプリケーションを、例えば他のユーザーにメールで送るなどによって共有することが可能ですが、そのような共有をクラウド上で行うサービスがこちらも無償で提供されています。

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クラウドへはQlik Sense Desktopからアプリケーションのアップロードを行い、招待された他のユーザーがPCからはもちろんのこと、iPhone/iPadなどのモバイルデバイス上からもウェブブラウザ経由でこのアプリケーションを閲覧することが可能となります。無償版には招待可能なユーザー数やデータサイズに制限がありますが、有償版にアップグレードすることでより多くのデータを利用してこの制限を超えたユーザーと共有することが可能となります。

「Qlik Sense Enterprise」

上記Qlik Sense DesktopやQlik Sense Cloudは個人利用や小規模グループでの利用では対応可能ですが、より多人数のユーザーでの利用や、運用における細かなニーズに対応するのがQlik Sense Enterpriseの位置付けとなります。Qlik Sense Enterpriseは社内環境やクラウド上にサーバーを準備して導入し、ウェブブラウザ経由でユーザーが利用する形となります。Qlik Sense Enterpriseについては有償となっており、以下の様なニーズに対応することができます。

  • 多数ユーザーによる利用
  • 既存認証システムとの連携
  • アプリ・データレベルのアクセス制御
  • 定期的なデータ更新の運用自動化
  • 多数の効率的な管理・モニタリング
  • ユーザー間での柔軟なコラボレーション
  • APIの活用・・・など

これらの管理には以下のQlik Management Console(QMC)と呼ばれる管理コンソールが用意されており、このコンソールを通じて様々な管理を統合的に行うことが可能となっています。

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Qlik Senseの特徴

では、次にQlik Senseの特徴を見ていきたいと思います。従来から存在したQlikViewと用途的には同一となり、またコアのエンジン部分は共通となっているためため、インメモリでの高速処理、特許技術の連想技術、超正規化によるデータ圧縮などはQlikViewから受け継いでいます。ここでは特にQlikViewとQlik Senseの違いや住み分けに焦点を置いて特徴を説明したいと思います。

セルフサービス型のデータ分析

Qlik SenseではITに精通していない現場のビジネスユーザーでも、ドラッグ&ドロップによる簡単な操作だけでデータを取り込み、見栄えの良いグラフやチャートなどを作成できる機能がより重視されています。例えば、Qlik Sense上でデータを取り込み、チャートを作成する作業は、以下のようなシンプルなステップで完結することができます。

[Step1] 取込み対象のExcelファイルやCSVをQlik Sense Desktop上にドラッグ&ドロップ

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[Step2] サンプルデータを確認し、データロードを実行

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[Step3] シート上にドラッグ&ドロップでチャートの部品を配置し、軸やメジャーを指定してチャートを作成

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一方、QlikViewもユーザーによる使い易さを重視した製品となっていましたが、ユーザーの要件に出来る限り細かく従えるよう、チャートの見せ方など多岐に渡る設定や調整が可能となっており、その反面シンプルな分かりやすさとトレードオフになっている面もありました。設定の豊富さや柔軟さの点ではQlikViewに一日の長があると言えますが、セルフサービス型でユーザーが簡単な操作でデータ分析を行える点ではQlik Senseが勝っていると言えます。

モバイル対応の強化

Qlik SenseではHTML5の技術が全面的に採用されました。また、併せてQlik Senseではレスポンシブデザインが取り入れられています。PC、スマートフォン、タブレットなど異なる機器の画面サイズに最適化された形でQlik Senseの画面が表示されるため、iPhoneのような画面の小さなデバイスでもスムーズに操作・参照が行えるようになりました。

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データ・ストーリーテリング

Qlik Senseでは、データ・ストーリーテリングという機能が新たに提供されています。これは、チャートのスナップショットを張り付けたプレゼンテーションのシートを作成し、データを分析するだけではなく、そこから得られた洞察や知見などをストーリーとした資料を作成できるものとなります。また、チャートのスナップショットから元となるソースのチャートに右クリックで遷移できるため、プレゼンテーション画面と分析画面を行き来しながらストーリを説明することが出来ます。

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これにより、例えば上司へのプレゼンテーションで「全国の売上を分析したところ、製品Aの粗利が高い」という説明を行っていて、「ある支店に絞った場合はどうか?」、「期間を直近3カ月に絞ったらどうか?」という質問を受けた場合、後日改めて調査結果を報告するのではなくその場でソースのチャートを表示させて分析結果を見せることができます。

オープンなAPI

Qlik SenseはHTML5, CSS, jQuery, AngularJSなどの汎用的なウェブ技術に基づいたAPIを提供しています。QlikViewでもJavaScriptやVBAを利用したエクステンションを開発することが可能ですが、Qlik SenseではオープンなAPIが採用されることにより、他のウェブサイトやアプリケーションと連携を行うに当たってはより汎用的なウェブ技術に親和性が高い方法で多岐に渡るカスタマイズを行うことが可能となりました。

尚、以下の「Branch」と呼ばれるサイトでは、開発者が作成したエクステンションが公開されています。

>>Branchサイト

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ガバナンス強化

「セルフサービス」、「ユーザー主導による分析」と言ったところで、それを各個人の裁量に任せて推し進めてしまうと、レポートの氾濫や作業の属人化など運用上問題となります。Qlik Senseでは「Governed Discovery (=統制されたディスカバリ)」を重視し、プラットフォームの管理を容易にする機能が強化されています。

Qlik Senseではルールベースのセキュリティ設定が可能となり、より柔軟で細かいリソースのセキュリティ管理が可能となりました。また、マルチノードのサイト展開や各種オペレーションの監視など、管理コンソールから一元的かつ効率的に管理を行う機能が提供されています。

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まとめ

以上、Qlik Senseの製品構成と特徴についてご紹介させて頂きました。「Qlik Sense」はエンドユーザーが「セルフサービス型のデータ分析」を直観的かつ簡単に行える機能を提供する「データディスカバリ」ツールになります。Qlik Sense DesktopやQlik Sense Cloudは無償で利用することが可能で、Qlik Sense Enterpriseを採用することでより強固なガバナンスや運用上の効率化を実現できることをご説明させて頂きました。

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